認知症の知識あれこれ
認知症のことを知る前に
まず、認知症っていう言葉を聞いたとき、皆さんはどう思われますか。「ああ、言葉くらいは知っている」でしょうか。それとも、「分かっている、頭の病気だよね」でしょうか。それとも…
たいていの人は、認知症についての情報を日々の生活の中で、テレビやインターネット、書籍や新聞などで簡単に得ています。得た気になっていると表現したほうがむしろ正しいのかもしれません。
ここでは、認知症について、正しい知識を知ってもらうことを、目的としています。なぜなら、認知症は年齢が高くなるほどなる可能性が高くなるといわれています。加えて3~5人に一人の割合で認知症になるという予測があります。今や、大切な人や自分が認知症になるかもしれません。
だからこそ、認知症について、正しい知識と理解を持って適切な対応ができるようにしてもらえたらと思います。
認知症になるって?
まず、覚えておいてほしいのは、人間の脳は、人として生きるためのすべての活動においてコントロールしている司令塔の役目をしているということです。その司令塔に、いったんキズが出来てしまうと治らないのが現状です。
「認知症」とは、色々なことが原因で脳の細胞が死んでしまったり、脳の働きが悪くなったりするために起こる「脳」の病気やキズから、さまざまな症状が出てきます。それによって通常の日常生活を送るうえで支障をきたすことになります。
この状態を「認知症」、あるいは認知症のある人といいます。
加齢によるもの忘れと認知症との違いを整理しましょう
人は、年を重ねると多くの人が、「あれ、なんだったかな?」とかもの忘れってありますが、一足飛びに認知症にはなりません。以下、比較してみました。
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ |
---|---|
もの忘れを自覚している | もの忘れの自覚がない |
体験したことの一部を忘れる | 体験したこと自体を忘れる |
ヒントがあれば思い出す | ヒントがあっても思い出せない |
日常生活に支障はない | 日常生活に支障がある |
判断力は低下しない | 判断力が低下する |
【脳が整理整頓してくれる】 | 【脳がうまく働かず、色々なことをすっぽりと忘れる】 |
認知症の症状を引き起こす主な病気について
「認知症」とは一つの病名を示しているのではなく、脳の病気や障害などによって、記憶や思考などの認知機能が持続的に低下する症状や状態の総称です。原因や症状別に種類があります。
(みんなの介護より抜粋)
*なお、ここでは、日本人に多い4大認知症を円グラフで示しています。
各認知症について、くわしくはこちらをご覧ください。
認知症のサイン・症状をくわしく知ろう
認知症の状態ということは、脳の病気や障害などによって、記憶や思考などの認知機能が持続的に低下する症状や状態の総称ですが、もう少し具体的にどのような症状があらわれるのかを説明します。
*認知症の中核症状の例として、次のようなものがあります。
もの忘れ(記憶障害)
- 数分前、数時間前の出来事をすぐ忘れる
- 同じことを何度も言う・聞く
- しまい忘れや置き忘れが増えて、いつも探し物をしている
- 約束を忘れる
- 昔から知っている物や人の名前が出てこない
- 同じものを何個も買ってくる
仕事や家事・趣味、
身の回りのことができなくなる
- 仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる、時間がかかるようになる
- 調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる
- 身だしなみを構わなくなる、季節に合った服装を選ぶことができなくなる
- 食べこぼしが増える
- 洗面や入浴の仕方がわからなくなる
- 失禁が増える
時間・場所がわからなくなる
- 日付や曜日がわからなくなる
- 慣れた道で迷うことがある
- 出来事の前後関係がわからなくなる
理解力・判断力が低下する
- 手続きや貯金の出し入れができなくなる
- 状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる
- 運転などのミスが多くなる
*認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)には、次のようなものがあります。
行動・心理症状(BPSD)
- 不安、一人になると怖がったり寂しがったりする
- 憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなる
- 怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる
- 誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)
- 自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
- 目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう
*このページを読んでいる方で認知症の方の介護にお困りの方、認知症のことが気になる方は、一人で悩まずに、どんなことでもいいのでご相談ください*