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「寄り添う」を、あきらめない。うえもり30年目の決意

京都北部、丹後の地で介護事業を始めてから、早いもので30年が経ちました。 節目の年となった2025年、私たち「うえもり」は今、一つの大きな転換期を迎えようとしています。
30年という月日は、企業として「成熟期」なのかもしれません。でも、この一年を振り返って私の中にあったのは、守りに入ることではなく「もっと変えていかなければならない」という、静かな決意でした。

■苦手だった「対話」から見つめ直した、私たちの足元

今年、私が自分自身に課した変化の一つに、全スタッフとの個別面談があります。 実を言うと、私はこれまでスタッフと一対一で向き合うことに、どこか苦手意識がありました。かつての経験から、面談といえば何かトラブルがあったり、誰かが辞めてしまう時の苦しい話し合いだったりすることが多かったからです。

けれど、創業30年という節目に、私自身がこの先10年、15年と現場を支え続ける覚悟を決めた時、「もう一度足元から固め直そう」という想いが湧いてきました。

皆の声を聴き、経営者としての俯瞰した視点から、もう一度現場に視線を戻す。この原点回帰とも言える対話の時間が、うえもりが次の一歩を踏み出すための、何よりのエネルギーになりました。

■ご本人の「本当の願い」を最後まで繋ぐために

介護の現場では、よく「寄り添う」という言葉が使われます。でも、それはただそばにいることだけではないと私は思っています。私が考える寄り添うという言葉の意味は、「ご本人の意思決定がなされている状態を、いかに保ち続けるか」ということです。

認知症が進むと、ご本人の本当の願いが見えにくくなることもあります。ご家族が限界を迎え、共倒れになりそうな厳しい現実に直面することもあります。そんな時、私たちは「命の安全」を最優先に守りながらも、その方が歩んできた人生や、心の奥底にある願いを汲み取ることを、決してあきらめたくないと考えています。

「その人が、その人らしくあるために、私たちに何ができるのか」

その問いを突き詰めれば突き詰めるほど、今のサービスの枠組みだけでは、十分に応えきれないもどかしさを感じることもありました。

■生涯を共に歩むパートナーであるために、ご家族の「今」に寄り添い続ける場所へ

うえもりの30年の歴史は、積み上げてきた信頼の証です。しかし、その形にこだわりすぎて、ご利用者様の本当のニーズを置き去りにしてはいけないと考えています。

今、私が考えているのは、デイサービスやグループホームを包括したサービス領域への参入です。それはなぜか。もっと自由に、もっと利用者さんの「今」に合わせた支援がしたいからです。

認知症が重くなってから出会うのではなく、もっと手前の、まだお元気な頃から関わらせていただきたい。そうすることで、その方の本当の想いをより深く理解し、たとえ状態が変わっても、最後までその想いを繋いでいくことができます。

「住み慣れた地域で最後まで」という言葉が、誰かの重荷にならないように。私たちは、30年目の今、あえて変化を恐れずに進化し続ける道を選びます。それが、この地域で私たちを頼ってくださる皆さまに対する、うえもりの誠実さではないかと考えています。

■これからも、この町で共に歩むパートナーとして

ご本人とご家族の笑顔が続く毎日を、私たちは全力でサポートします。認知症や介護に関するご相談、施設見学は随時受け付けております。親戚の家に遊びに行くような気持ちで、いつでも扉を叩いてください。

*「福祉のうえもり」の30年を振り返る特設ページを公開しました。関連するエピソードとともにぜひご覧ください!
▶福祉のうえもり 30周年特設ページはこちら

 

福祉のうえもり 代表取締役 植森 江助